高血圧は健康で長生きできます。血圧の薬は飲んじゃダメ。

何年か前、イタリア紀行のテレビ番組を見ていたら、田舎の独居老人宅への巡回診療の場面が出てきました。日本でもそうですが、まずは血圧測定。そして、お医者さん曰く「血圧は150、健康」と。これを、今でも、はっきりと覚えています。
しかし、日本では絶対にこのようにはなりません。日本のお医者さん曰く「血圧が150もある。これは高すぎる。脳卒中になっちゃうよ、心筋梗塞の危険もあるよ。血圧を下げる薬を出しておきましょう。毎日飲んでくださいね。」となります。

日本では、血圧に限らず様々な検査数値を厳しく設定し、それを少しでも超えようなら、基準値以内に止まるような薬を処方しようとするのが常です。
こんな国は日本だけです。薬漬けも甚だしいかぎりです。
お医者様に頼ろうとする日本人の国民性(特に老人)に付け込んで、医師は薬を処方し続けて保険点数を安定的に稼ごうとするのです。
医者本来の役目は、的確な病気の診断であり、患者と一体になって病気を治すことにあります。こと生活習慣病にあっては、検査数値が超えたから(例えば血圧が150)といって、それそのものが病気(高血圧症)ではないです。単に、多少好ましくないだけのことであって、このままの生活習慣を続けると、将来的に病気(脳卒中や心筋梗塞)になる危険性がどれだけか高まる恐れがあるだけのことです。
よって、医者本来の生活習慣病に関する対処法は、生活習慣改善のカウンセリングに止めるべきで、薬を処方してはいけないのです。処方するとすれば、例えば、時々血圧が急上昇した(これは自覚出来ます)ときに限って飲む薬を出すだけにすべきです。
しかし、これでは1人ひとりの患者の指導にたいそうな時間が掛かって保険点数も上がりませんし、生活習慣が改善されれば検査数値が基準値内に納まってしまって患者が来なくなります。そうなると、医者は食っていけません。
そこで、カウンセリングなどという面倒な指導はそこそこにして、患者の方も 楽して検査数値を基準値内に納めたがっている のだから(そのように洗脳されているのですが)、検査数値を基準値内に即効的に納めることができる薬を処方し続けるのです。
このように医者は毒を盛り、患者は苦しめられるという、何ともならない日本の医療制度ですが、そうなってしまった経緯については、の記事をご覧ください。

さて、日本人の適正血圧は、その昔「年齢プラス90」と言われていました。
20歳なら110、40歳なら130、60歳なら150です。この計算式は高齢者にも適用され、80歳なら170です。よって、高血圧症とされる患者数はわずかなものでした。
それが、従前は基準値が160であったものを2000年に140と改定され、更に2004年には老人以外は130に改定されました。この改定は、どう考えたって医師会と製薬会社が結託した 患者の大量生産 以外の何物でもありません。
その昔、40歳の適正血圧であった130が、今では基準値いっぱいいっぱいの扱いにされてしまい、その昔、老人の適正血圧(70歳160、80歳170)であったのが、皆、基準を大きくオーバーしてしまったのだからです。
血圧が160、170ともなると、これはいかにも高すぎる。やはりこれは高血圧だ。 と、誰しも考えるようになってしまった今日です。これも、洗脳されているからです。

「適正血圧は年齢プラス90」が正しいことを説明しましょう。
(もっとも、これは文明社会のことでして、毎日よく動き、過食しない狩猟採集民にあっては、老いも若きも皆、血圧は110程度のものですし、文明社会にあっても、類似した生活をしている方は、それに近いものとなりますが、ここでは、それを除外します。)
「適正血圧は年齢プラス90」には、ちゃんとした根拠があります。
戦後暫くしてから、米国フランガム市で50年以上の長期にわたって疫学調査が行われました。一人ひとりの血圧を50年以上もの間、記録を取り続け、その血圧がどのように変化していくかを調べたものです。
その結果、生存者の血圧変化の平均は、概ね「年齢プラス80~90」になっているのです。さらに、血圧の高低は個人差がありますから、調査対象を4群(高い、やや高い、普通、低い)に分けて見てみると、高いグループにあっては80歳で血圧は200を超えるのですが、それでもピンピンしており、85歳まではちゃんと生きているのです。
なお、この調査は、85歳で終わっているようでして、このグループが90歳まで生きたかどうかは分かりませんが、若いときから血圧が高い方にあっては、年を取ってから血圧が200を超えてもどってことないを示しています。
(フランガム市の疫学調査の詳細は、[吉岡英介さんのHP]をご覧ください。この段落はその要旨です。)

次に、ヨーロッパ高齢者高血圧研究会の調査、これは既に記事にしたところですが、高齢者にとっては、むしろ血圧が高いほど死亡率が低い、血圧が180ぐらいまでは脳卒中になる可能性が高くなるという明確な根拠はない、という結果が出ています。
こうしたことから、冒頭で書きましたイタリア人のお医者さんは「血圧150、健康」と診断されたのです。なお、テレビに登場したご婦人は80歳ぐらいでしたから、もっと血圧が高くてもいいくらいです。
もう一つ既報ですが、岡本裕さんというお医者さんは、長く脳外科専門医をなさっておられた経験から、「血圧が常時200を超えるほどでなければ、血圧と脳出血の相関はない」という印象をお持ちです。

さて、日本で盛んに処方されている血圧の薬 降圧剤 を飲み続けると、どうなるでしょうか。1980年代に発売されたサイアザイド系利尿剤について、数多くの大規模調査データが幾つかあるようです。これは業界の関係者が知るだけで、一般国民には広報されていなかったようでして、小生も先日知っただけなのですが、次の結論が出ています。
1 脳卒中による死亡がわずかながら減少する
2 心筋梗塞による死亡が増える(または、減らない)
3 寿命が延びることは決してない
このことは、新潟大学の岡田正彦教授によれば、以後に発売されたどの降圧剤にも一様に認められるとのことです。さらに、教授がおっしゃるには、サイアザイド系利尿剤を長期服用すると、『コレステロール値、中性脂肪値、血糖値が徐々に上がる』ということが、調査の過程で判明したとのことです。すなわち、これらの物質が血液中に増えて血管壁を傷つけ、心筋梗塞を引き起こすというものです。また、薬の効き過ぎによる脳血流の低下などの弊害により、寿命が延びないと考えられると、おっしゃっておられます。
加えて、降圧剤の服用者には交通事故死が多いとか、鬱病(うつ病)による自殺者が増えるというデータもあるとのこと。

ところが、降圧剤に効果ありとする報告もあります。
1997年に60歳以上の約5千人の高血圧患者を対象とした調査で、2年間の降圧剤処方で、上の血圧が平均23下がり、こうして血圧を下げたことにより、脳卒中は42%低下し、心血管死は27%減少した。
その調査手法が分かりませんから何とも言えませんが、はたして疫学調査の手法が正しく行われていたかどうか疑問です。期間が2年は短すぎますし、降圧剤非投与群との比較はきっとしていないでしょう。また、死亡率は単に全国平均との比較と思われ、そうなると調査対象群の死亡者数が少ないですから、統計上の意味がなくなるからです。少なくとも1桁上の調査対象群とする必要があり、そうした調査を行えば、先に紹介したサイアザイド系利尿剤の大規模調査の結果と一致することでしょう。
国民に知らされるのは、こうした医師会と製薬会社に都合の良い結果だけであって、いわば捏造されたとも言える調査報告が大きくPRされ、だまされてしまうのです。

繰り返しになりますが、血圧は個人差があり、年々上がっていくのが正常なのですから、 俺は200歳まで生きるんだ という人は110歳を超えると血圧は200を超えてしまい降圧剤が必要になるかもしれませんが、そうした方はおみえにならないでしょう。
高血圧の人は、自分の体が正常に働くよう、心臓が血圧を高くしてくれているのです。それによって、体の隅々まで十分な酸素が供給されるのです。
これは、普通の血圧の人でも、運動すれば筋肉が普段よりの酸素を多く要求しますから、血圧が高くなるのと同じことです。
そして、高血圧状態がすっと続いていても、息苦しくもなく、どってことなければ、心臓は楽々その血圧を維持してくれていることになりますから、何も心配いらないのです。
体質的に高血圧の方は、生まれつき、あるいはどこかの時点で部分的に血管が細くなっていたり詰まり気味になっていたりして、血流が悪くなっているからでしょう。
このことは加齢によっても生じます。血管の弾力が落ちてきますし、どれだけかの動脈硬化は避けることができないからです。それでも、心臓は十分に対応してくれ、血圧を上げて全身に必要な酸素を供給するのです。
酸素を供給するのに必要だから血圧を上げているのに、血圧を下げてしまう降圧剤は、無理に血圧を下げることによる副作用が大き過ぎます。
今まで体の隅々まで酸素を供給できていたのが、血圧低下によって、それが不十分となりますから、特に、心臓より上部にある頭への血流が細くなるのは必然で、酸素を大量に欲する脳の働きが鈍ることになります。
めまい、ふらつき、頭がぼーっとする、だるい、頭痛がする、肩がこる、
そして、体の上部に止まらず、内臓や筋肉への血流も悪くなりますから、酸素供給が減ってエネルギーの生産が落ち、動きも鈍くなり、それに相当する分を減食すればいいのですが、普段どおりに食べていれば、やがて過栄養となってしまい、『コレステロール値、中性脂肪値、血糖値が徐々に上がる』という結果を招くことになるのです。
加えて、心臓の筋肉は強く収縮しようと思っても降圧剤で抑え付けられますし、酸素不足にもなりますから、息苦しくもなり、かえって心臓に負担が掛かることにもなります。

どうでしょうか、何もいいことがない降圧剤なのです。
最後に、この記事を書く切っ掛けになった経緯を述べさせていただきます。
それは、小生のおふくろ(94歳)の体調の変化です。
おふくろは、70歳頃から降圧剤を飲み始め、それによって、年に1、2度めまいに襲われて丸1日寝込むようになり、80歳頃から心臓の疲れが出てきて、救心を飲んだり、その後医者で心臓の貼り薬をもらったりしていました。そして、背中に痛みを感ずるようになり、下呂膏をしょっちゅう貼るようになりました。90歳頃にはコレステロールの薬も処方されましたが、これだけは飲むのを止めさせました。ものですからね。(降圧剤も止めさせようとしたのですが、頑として言うことを聞かず。)
なお、めまいは薬で治るものではなく、80歳頃から店にある銀杏葉エキスを飲ませることにしたのですが、思いのほか良く効いて、めまいがほとんどしなくなりました。
しかしながら、おふくろは、加齢による体の弱りもありましょうが、昨秋、畑仕事に精を出しすぎた疲れにより、重いめまいに襲われ、とうとう寝込んでしまい、1ヶ月間、寝たり起きたりの生活を余儀なくされました。
これは、やはり降圧剤が原因していると思われ、その副作用を消してくれる銀杏葉エキスでもってしても防ぎえなくなってしまっていたのでしょう。
そして、1か月も外出できなかったですから、お医者さんの薬も底をついてしまいました。めまいの症状が消え、出歩けるようになったおふくろは、お医者さんに行くかと思っていたのですが、どういう訳か全く行かなくなり、それがもう1年近くになるのですが、降圧剤も心臓の貼り薬もなしで済ませています。今、おふくろが飲んでいるのは、従前からの銀杏葉エキスと病中から飲ませるようになった漢方の滋養薬です。
足の弱りがあって、以前ほど出歩くことはなくなりましたが、体調は前通りに回復しています。そして、驚いたのは、背中の痛みに貼っていた下呂膏を半年ほど前から必要としなくなったことです。加えて、時々の頭痛に鎮痛剤を飲んでいたのですが、これも不要となりました。また、時々訴えていた指先のしびれもなくなりました。
新たに飲ませるようになった漢方の滋養薬には、こうした効果はあまり期待できないと思われますから、これはやはり降圧剤を飲まなくなったことにより、その副作用が消えてくれたと考えざるを得ないのです。
こうしたことから、 降圧剤は恐ろしいものだなあ と、しみじみ感じたところです。

今、ご自身が、あるいは身内で降圧剤を飲んでおられる方で、血圧が「年齢+90」に納まっておられるのであれば、降圧剤を飲むのを止めることをお勧めします。
なお、飲まなくなったことによって、何か体調に変化を感じたら、血圧を測定され、ひどい異常値が出たら、そのとき降圧剤をお飲みになればいいでしょう。
ただし、従前は低い血圧であったのが、最近急に血圧が高くなった方にあっては、降圧剤を止めると再び血圧が急上昇すると思われますので、慎重に対処なさってください。
血圧急上昇の原因は、過剰なストレスであるのか、脳卒中や心筋梗塞の前触れであるのか、といった原因の特定を急ぐことが肝要でしょう。

長文となってしまい、また、所々で他の記事へジャンプさせたりして、お手間を取らせて申し訳ありませんでしたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
いずれにしましても、ヒトは動物ですから、毎日体をよく動かす=そのとき血圧を上げて酸素を全身に供給=それによって健康で長生きできるのです。
ですから、体が良く動く限り、多少の高血圧は心配に及ばずです。
第1級の寒波が日本列島を覆っています。閉じこもりがちになりますが、ラジオ体操なり膝屈伸運動なりで体を十分に動かし、血圧を上げ、今日も健康でお過ごしください。

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