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シーナ・アイエンガーの「選択日記」に
あった話である。

人は選択を下すとき、互いに結びついて
はいるが、別々の二つの脳回路を使って、
情報を処理し、答えや判断を導きます。

一つは「自動システム」と呼ばれるもの
で、目先の欲望にストレートに反応します。

これに対してもう一つの「熟慮システム」
は、論理や理性が動かしています。自分に
とっての長期的利益を考えて行動を起こさ
せるのです。

1960年代に行われた有名な「マシュ
マロテスト」が、このしくみについて多く
を教えてくれます。

四歳の子どもにマシュマロを一つ渡して
こう言うのです。

「私が戻ってくるまで食べるのをがまん
できたら、もうつマシュマロをあげる。で
もどうしてもがまんできなくなったら、ベ
ルを鳴らしてね」

研究者は、帰ってくる時間は告げずに、
部屋を出て行ってしまいます。

子どもは、いますぐほしいものと、将来
の自分の利益になることとの間の激しい葛
藤と闘いますが、七割の子どもが、我慢で
きずベルを鳴らしました。

私たち大人でさえ、人生で出会うさまざ
まな「マシュマロ」を我慢しないことが多
いのです。たとえば交際中の男女の三〇%
から四〇%、夫婦の四〇 から六〇%が、
相手に不貞をはたらいたことがあるという
調査結果もあります。

「マシュマロテスト」が研究として優れ
ているのは、被験者の子どもたちを、10
年後、さらに成人後も、追跡調査している
点です。

テストでは三割の子どもが、15分我慢
して、戻ってきた白衣の研究者にお菓子を
二つもらうことになりましたが、10年後
の追跡調査では、我慢できた子どもたちは、
我慢できなかった子どもたちに比べて強い
友情で結ばれ、困難な状況に適切に対処す
る力があり、行動上の問題も少なかったの
です。大学進学適性試験(SAT)のスコアも
平均で210点も、高いことがわかりまし
た。

さらに成人後の追跡調査でも、このグル
ープは、喫煙や違法薬物の経験率が低く、
社会的経済的地位も高く、修学年数も長か
ったのです。

もちろん自制心はよい成果をもたらした
唯一の要因ではないかもしれません。しか
し、それが私たちの人生におよぼす影響を、
軽視してはならない、ということをこの調
査の結果は教えています。

以上。

 

面白い内容である。


「いますぐほしいものと、将来の自分の利益に
なることとの間の激しい葛藤に15分耐えるこ
とができるか否か、そして闘い抜ける強さを持
てるか否か」で、人生が決まる。

則ち、「15分我慢できるか否か」で人生が決
まる。

親が人の子の親として、子どもをどのように育
てるか。


わたしは、結婚もしなかったし、勿論、子ども
もいないので、このような話題に加わるのは、
資格要件に欠けるのだが、このような資質を子
どもに身につけさせることができる親ってどの
程度いるのだろう。
また、自覚している親ってどのくらいいるのだ
ろう。

だいぶ前のことだが、行きつけの喫茶店で、夕
食をとっていると、後方で子どもが,ごねてい
て、耳障りなので、振り返った。すると、母親
と男の子が座っていたのだが、子どもが愚図っ
ている。わたしは、子どもの話すのが、聞こえ
たのだが、その内容を聞いて、驚いてしまった。

子どもの言うには、「なんで僕が良いと言って
ているのに、だめなの」と愚図っている。

言い換えると、母親に対して、「なんで、お前
は俺のいうことが聞けないのだ」と、愚図って
いる。

さすがに、わたしも、この愚図りようを聞いて、
他人の子どもながら、カチンときてしまった。

一体全体、この若い母親、どんな子育てをした
のだろうと。

公の場で、聞き分けのない子どもに育ててしま
って。

子どもは、自分を中心に世界が回っていると、
思い込ませてしまったようだ。

この聞き分けのない愚図りよう、今後、どれ
だけ、この子を育てていくのに苦労するのだ
ろうと、行く末を案じた。

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