肺高血圧症のお薬の、もうひとつのドラッグ・ラグ

のことを書きましたが、日本で承認されても、実際に使うときに問題があるお薬というのもあります。
たとえば、。のお薬です。
混合性結合組織病(MCTD)や全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症(SSc)、多発性筋炎(PM)・皮膚筋炎(DM)などでも、合併することのある、ちょっぴり身近な病気です。
このお薬、認可はされているのですが、薬価がおそろしく高いのです。
、もします。ポンプで持続点滴すると、10 ng/kg/分で1ヶ月、60万円。100 ng/kg/分なら1ヶ月で600万円、年間で7200万円かかるのです。この価格設定は、実は日本特有で、アメリカの10倍くらいの値段なのだそうです。
もともと、フローランをちょっと使って、飲み薬に切り替えていくということを想定した価格設定だったそうですが、実際の使い方としては、病状によってフローランは増量していくのがよくて、一旦はじめたら、やめない方がいいとか、継続した大量投与がいいとかいう研究結果が出てきています。でも、日本では、高いから、なかなか増量できない、というジレンマが。
特定疾患で公費対象であると自己負担は、限られていますが、保険組合には重い負担としてのしかかります。たとえば、それを理由に退職なんかさせられたら大変です。
もうひとつ、あまり知られていませんが、「減額査定」というもので、ひっかかることもあるようです。わたしも詳しくないけれど、監査機関が「不要な検査・投薬だ」と言ったり、医療機関が提出するレセプト(診療報酬明細書)がおかしい、と認めた場合、その部分は保険組合からお金が出ないようです。そのお金は、病院が負担することになります。
…「これは不適切」とつっぱねられたら、金額が金額だけに病院の経営に重くのしかかります。っていうか、経営がなりたちません。病院としても、そういう処方をする先生を置けない…なんてことも起こりかねないのです。
だから先生としては、増量した方がいいなぁと思っても、思うように増量できない場合も出てきてしまいます。
これって、現実的でない価格設定が引き起こしたといえます。
実は、発売からもう10年。特許切れをむかえて、ジェネリックを発売することを検討する会社も出てきたのですが、アメリカ並みの価格を実現することはむずかしかったようです。
肺高血圧症の患者さんは増えているそうですが、フローランの売り上げは100億円程度だそうですね。すごい金額に見えますが、認可のためにいろんな検査をしたり、保障をしたりするためには、ぎりぎりの売り上げなんだという人もいます。
いい方法はないのかなぁ、といろいろ見ていたら、東大医科研先端医療社会コミュニケーションシステムの」と書かれていました!
研究データは持っているわけだから、自分で自分のジェネリックを作れば、創薬のコストは圧縮できるかもしれません。
もうひとつ朗報が。
新しい薬、が出てきています。
これは、フローランより少し安定したお薬のようです。2002年にアメリカで売り出され、日本でも一昨年2008年から治験が進められています。目標は2012年の発売。今度こそ、使える価格で発売されてほしいものです。
こうした薬価の問題、もしかしたら、特定疾患の公費負担によって、患者から見えにくくなっている部分もあるのかもしれませんね。
でも、患者にとって、大事な問題。見逃しちゃいけないなぁと思います。
膠原病の患者の傍らによくあるプレドニンは薬価が安いのですけれど、今も、新薬の開発がつづけられています。も、フローランと同じ会社のお薬ですね…。
期待の新しいお薬が使えない価格にならないように、見守っていきたいと思います。
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