肺動脈性肺高血圧症…ブレスセミナー

肺高血圧症をキーワードにこのブログを閲覧して下さる方が大勢いらっしゃいます。
がありましたので、お知らせします。
2012年9月28日、日本循環器学会主催の第6回プレスセミナーが都内で開催された。
本セミナーは、循環器疾患に関する情報をメディアを通じて広く一般市民に提供することを主眼としており、今回は約40名のメディア関係者が参加した。
今回のテーマは「肺高血圧症について」。肺高血圧症は長年、予後不良の疾患であったが、近年の薬剤の開発とともに予後も改善されつつあることから、 診療においては正確な診断と治療法の適正化、早期発見の重要性が訴えられている。肺高血圧症の疾患概念および治療の変遷を整理し今後の課題を示すべく、4 名の演者による講演が行われた。
◆開会・座長挨拶
福田 恵一 氏(慶應義塾大学医学部 循環器内科 教授)
◆講演1 「肺高血圧症の病態」
武田 裕 氏(名古屋市立大学病院 循環器内科 講師)
肺高血圧症は予後不良の希少疾患であるが、近年、病態の解明と治療薬の開発が進み、治療法が著しく進歩しつつある疾患として注目されている。
武田氏は、肺高血圧症の病態等を概説するとともに、早期発見・早期治療の重要性について述べた。
◆講演2 「肺高血圧症の診断」
佐藤 徹 氏(杏林大学医学部 循環器内科 教授)
わが国における肺高血圧症の有病率は、厚生労働省の難病登録集計を基にすると、肺動脈性肺高血圧症(PAH)が100万人あたり10~15人で、う ち特発性PAHの年間罹患率は2~3人と稀な疾患であるが、診断技術の進歩とともに発見率が向上し、有病率は徐々に増加している。
佐藤氏は、肺高血圧症診療の変遷においての自身の経験を交えつつ、肺高血圧症の診断について講演した。
◆講演3 「肺高血圧症の治療」
松原 広己 氏(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 臨床研究部長/循環器科 医長)
肺高血圧症は、近年の治療薬の登場を受け、疾患の概念が大きく変わりつつある。松原氏は、近年、顕著な進歩を遂げてきた肺高血圧症の治療について概説した。
最後に松原氏は、肺高血圧症患者の長期生存を目指すには、「肺動脈圧などの血行動態を正常に近づける努力が必要で、そのためには早期から積極的な治 療介入が必要である」と強調し、さらに「現在の治療薬により、完治はできずともほとんどの患者で血行動態が改善できるようになりつつあり、長期生存が期待 できる状況である」と述べ、講演を締めくくった。
◆講演4 「膠原病による肺高血圧症」
桑名 正隆 氏(慶應義塾大学医学部 リウマチ内科 准教授)
わが国で肺動脈性肺高血圧症(PAH)と診断されている患者のなかで最も多いのは、基礎疾患として膠原病をもつ患者である。そして、膠原病患者において肺高血圧症は主な死因の1つであることから、その克服は予後改善の課題となっている。
桑名氏は、膠原病による肺高血圧症について、基礎疾患の膠原病の解説とともに講演した。
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診断が難しいとされている肺動脈性肺高血圧症ですが、今後の課題についてお知らせします。
今後の課題―早期発見・早期治療へ―
現在、肺高血圧症の研究の進歩とともに肺高血圧症と早期に診断される患者が増え、多くの患者が早期に治療を開始できるようになりつつある。最後に武 田氏は、「今後もこの傾向を進め、より多くの患者を早期発見・早期治療へとつなげることが重要であり、このことが患者の生存率の改善に寄与するだろう」と 述べ、講演を締めくくった。
肺高血圧症診断の進展と今後の課題
佐藤氏は肺高血圧症の診断の歩みについて、自身の経験を振り返り、「1990年代の心エコー図検査の普及」、「1999年にわが国でもPAHの新し い治療薬が使用可能になり、治療へのモチベーションが増して診断方法の工夫がなされたこと」、さらに「重症度を判定するさまざまな検査手法が開発されたこ と」などにより診断法が進歩してきたと述べた。
最後に佐藤氏は、「肺高血圧症は症状が労作時に出現しても安静時には出ない場合があり、こういった患者では通常の安静時に行う検査では肺高血圧症と 診断されず、これが診断における課題の1つである。このようなケースでは運動負荷をかけて心エコー図検査を行う方法が有用であると考えられ、これにより現 在よりも早期の段階で診断が可能になるだろう」と今後の診断法の進歩への期待を示し、講演を結んだ。

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