脳卒中をやっつけろ!

昨日は金沢で最近の急性期脳梗塞に対する血管内治療の問題点と今後の展望についてお話しさせて頂きました。講演後、金沢地区でも血管内治療を開始したいが、その体制作りをどうしたらいいかということで質問がありました。
急性期脳梗塞の連携システムはtPA静注療法を行う施設と血管内治療を行う施設の連携が重要です。
・どのような患者さんをどの時点で搬送するのか、ある程度決めておくこと、
・受け手側は24時間体制を構築すること、
・受け入れた患者さんを早期にリハビリテーションに移行すること
などが重要です。このためには、受け手側は複数の専門医が交代で対応できるようにして、治療室も常に使える体制にすることが必須です。
一方、血管内治療医が他の病院に出向いて治療するのはどうかと尋ねられました。tPA静注療法に関してはドイツで「モバイルストロークチーム」というアイデアが提唱されているのです。
実は、私自身も以前は出張治療をしていたのですが、
・連絡をもらったら短時間に到着する必要がある
(昼間は日常業務を突然中断せざるを得ない)
・その病院にデバイスがない場合には全て持参する必要がある
(メルシー、ペナンブラ、バルーン・ステント、合併症に備えた器具が必要)
・保険診療の範囲を超えてしまうことがある
・DSAが少ない病院では他の診療科の治療が終わるまで待たされることがある
・到着までに患者さんが改善したり、家族の同意が撤回されることがある
など、いくつかの問題を経験しました。時間外など比較的余裕のあるタイミングで血管内治療専門医が常駐しているような施設へ出向くのであれば可能かもしれませんが、昼間自分たちの業務を突然中断するということは深刻な問題ですし、治療の難しいケースではどうしても複数の医療機器を使用せざるを得ません。その結果、病院に保険請求でご迷惑をおかけすることがあり、熟慮の結果、Drip-shipシステムを開始したのです。Drip-shipシステムも治療結果を良くするためには様々な工夫が必要ですが、これまでのところうまく運用できています。またアメリカではこのシステムが今や主流となっています。全国でこのシステムが発展していくため、協力していきたいと思います。
金沢大学脳神経外科の先生方、会場の先生方と意見交換が出来て私も知識の整理が出来ました。本会の関係者の方々に心から御礼を申し上げます。

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