高血圧の薬はどのように働くか

降圧薬の効果を出すために、また副作用を防ぐためには、医師に指示された通りの時間に、指示された通りの量の薬を飲み続けることが大切です。勝手に薬をやめたり、飲み忘れたからといってまとめて薬を飲んだりしてはいけません。
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)(テルミサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、ロサルタン、オルメサルタンなど)
血管を収縮させ、血圧を高くするアンジオテンシンⅡという物質がありますが、その物質の作用を抑えて、血圧を下げる効果を持っている薬です。血圧を下げる効果の他に、糖の代謝を改善したり、心臓や腎臓を保護する働きなども期待されるため、糖尿病や腎障害、メタボリックシンドロームの方などに積極的に使われます。1990年代から使われるようになった新しい薬です。
副作用としては、軽い動悸やめまいなどがあります。妊娠中の方には使用できません。
カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム、ニフェジピン、アムロジピンなど)
心臓や血管が収縮する時には細胞内にカルシウムイオンが流れ込みます。カルシウム拮抗薬は、カルシウムイオンが細胞内に流れ込むのを抑え、血管を拡げることで血圧を下げる効果を持つ薬です。日本では古くからよく使われていて、収縮期血圧の高い高齢者や、狭心症などの心臓の病気のある患者さんなどに適しているといわれています。
副作用としては、顔のほてり、むくみ、頭痛、動悸、便秘などがあります。
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)(エナラプリル、イミダプリル、ペリンドプリルエルブミン、テモカプリルなど)
血管を収縮させ、血圧を高くするアンジオテンシンⅡという物質がありますが、その物質がつくられるのを防ぐ薬です。血圧を下げる効果の他に、心臓や腎臓の合併症を予防する効果が期待されるため、糖尿病や腎障害、メタボリックシンドロームの方などに積極的に使われます。
空咳やのどの違和感、むくみといった特徴的な副作用が出ることがあります。また、妊娠中の方には使用できません。
利尿薬(インダパミド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロセミドなど)
腎臓で、塩分と水分を体の外に出す働きを促して、血圧を下げる薬です。古くから使われており、他の降圧薬と一緒に使うことが多い薬です。
薬の影響で尿の量が増えるため、トイレの回数が増えることがあります。また、一部の利尿薬では、多めの量を長期間飲むと体内のカリウムが減少して、不整脈や手足のしびれなどの副作用が起こることがあります。
β遮断薬(アテノロール、ビソプロロールなど)
血圧を上げる神経の働きを抑えて心臓から拍出される血液の量(心拍出量)を抑えたり、血管の収縮を弱める作用を持つ薬です。脈拍数が多い方や狭心症などの心臓の病気がある方によく使われます。
副作用としては、脈拍数が少なくなりすぎたり、手足の冷えが出ることがあります。気管が収縮しやすくなることがあるため、気管支喘息の人には慎重に使用する必要があります。
α遮断薬(ドキサゾシン、ブナゾシンなど)
血圧を上げる神経の働きを抑えて、血管の収縮を弱める作用がありますが、最近では他の薬に併用して用いられることの多い薬です。
副作用として、立ちくらみやめまいなどが出やすいことが知られています

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