肝移植と肺高血圧

肝硬変の進行によって門脈の流れが悪くなると、門脈の血液が肝臓を通らずに心臓・肺へ移動してしまいます。これによって肺高血圧症が起こることがあるため、肝移植患者さんでは手術前に心電図検査・心臓超音波検査が必要です。超音波検査で評価された平均肺動脈圧>25mmHgと診断された場合、肝移植前に心臓カテーテル検査で正確な肺高血圧の評価が必要になります。肺高血圧は移植手術しても回復までに半年以上かかり、重症だと移植後の死亡率が非常に高いためです。
移植前に肺高血圧の治療を十分行い、平均肺動脈圧を薬剤(PGI2,NOなど)で下げることができれば、肝移植が可能なこともあります。
肝硬変の子供が、歩けない(かない)・走らない(れない)・むくみなどが出てきたら、注意深い観察が必要です。肝移植が困難な平均肺動脈圧>35mmHgになる前に紹介してもらいたいのですが、病気自体が広く認識されていないため難しいようです。
とてもとても大変な移植が続きます。

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